国がセルフメディケーションを後押ししている背景には、日頃から自分の健康状態を把握し、軽度な不調に適切に対応する考え方を広げる目的があります。セルフメディケーション税制も、健康の保持増進や疾病予防に取り組む人を支援する制度の一つです。
ただし、セルフメディケーションは「病院へ行かずに市販薬だけで済ませること」ではありません。市販薬で対応できるか、薬剤師に相談すべきか、医療機関を受診すべきかを適切に判断することが大切です。
「なぜ国はセルフメディケーションを推進しているの?」
「セルフメディケーション税制は何のためにあるの?」
「薬局や薬剤師にはどんな役割があるの?」
このように疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
日本薬剤師会では、セルフメディケーションを「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と説明しています。一方で、症状の改善が思わしくない場合には医療機関を受診し、判断に迷うときは薬剤師に相談することも示されています。
この記事では、セルフメディケーションが推進される背景、セルフメディケーション税制の概要、薬局・薬剤師の役割、注意点をわかりやすく解説します。
監修:ESSENCE薬局(エッセンス薬局) 管理薬剤師
武蔵小杉のESSENCE薬局に所属する薬剤師。処方箋調剤を中心に、服薬指導、お薬の飲み方・副作用・飲み合わせの相談、市販薬の選び方の相談、医療用医薬品の適正使用支援に従事しています。症状が強い場合や長引く場合は、医療機関の受診をご案内しています。
本記事はESSENCE薬局編集部が作成し、当薬局の管理薬剤師が内容を確認したうえで公開しています。
本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
本記事は2026年10月時点の情報に基づいています。
セルフメディケーションとは?

セルフメディケーションには、日頃の体調管理、睡眠や食事の見直し、適度な運動、軽い不調への市販薬・OTC医薬品の活用、薬剤師への相談などが含まれます。
たとえば、軽い頭痛、鼻水、胃もたれ、便秘、花粉症などでは、市販薬や生活習慣の見直しを選択肢として考えることがあります。ただし、症状が強い、長引く、急に悪化する、今まで経験したことがない症状がある場合は、市販薬だけで様子を見続けず医療機関へ相談することが大切です。
セルフメディケーションは、自分で何でも判断することではありません。自分の体調を把握し、必要に応じて薬剤師や医師に相談する健康管理の考え方です。

国がセルフメディケーションを推進する背景は?
国がセルフメディケーションを後押しする理由は、「薬を自分で買わせるため」だけではありません。日頃から体調を管理し、軽い不調には適切に対応し、必要なときには医療機関につながる行動を広げることが目的です。
セルフメディケーションが広がると、生活者自身が次のような行動を取りやすくなります。
- 普段の体調変化に気づきやすくなる
- 軽い不調に対して生活習慣や市販薬を適切に使いやすくなる
- 市販薬でよいか、受診すべきかを薬剤師に相談しやすくなる
- お薬手帳を活用して、処方薬や市販薬の情報を整理しやすくなる
- 症状が続く場合に医療機関へ相談する判断がしやすくなる
また、医療費適正化という観点でも、軽度な不調への適切な対応や医療機関の適切な利用は重要です。ただし、医療費を抑えることだけを目的に受診を控えるのは適切ではありません。必要な受診を遅らせないことが前提です。

セルフメディケーション税制とは?
厚生労働省は、セルフメディケーション税制の対象品目一覧を公開しています。令和4年1月以降、制度が延長され、対象医薬品の範囲が拡充されました。対象品目には、スイッチOTC医薬品や、令和4年以降に追加された一定の非スイッチOTC医薬品が含まれます。
国税庁は、健康の保持増進や疾病予防に関する一定の取組を行っている人が、その年中に対象医薬品を一定額を超えて購入した場合、通常の医療費控除との選択適用で控除を受けられると説明しています。
ただし、すべての市販薬が対象になるわけではありません。対象かどうかは、レシート表示、厚生労働省の対象品目一覧、国税庁の案内などで確認しましょう。
| 確認したいこと | 内容 |
|---|---|
| 対象医薬品か | スイッチOTCや一定の対象医薬品かを確認 |
| レシート表示 | 控除対象である旨の記載を確認 |
| 一定の取組 | 健康診断、予防接種など制度上必要な取組を確認 |
| 医療費控除との関係 | 通常の医療費控除との選択適用である点を確認 |
薬局・薬剤師にはどんな役割がある?
セルフメディケーションでは、生活者が自分の体調を把握することが大切ですが、薬の選び方をすべて一人で判断する必要はありません。薬局では、薬剤師が症状や服薬状況を確認し、市販薬で対応できそうか、医療機関への相談を検討したほうがよいかを整理します。
薬局で相談できることには、次のようなものがあります。
| 相談内容 | 薬剤師が確認すること |
|---|---|
| 市販薬・OTC医薬品 | 症状、年齢、持病、妊娠・授乳、使用上の注意 |
| 飲み合わせ | 処方薬、市販薬、漢方、サプリとの併用 |
| お薬手帳 | 薬歴、重複、複数医療機関の処方内容 |
| 受診目安 | 市販薬で様子を見るか、医療機関へ相談するか |
| セルフメディケーション税制 | 対象医薬品やレシート確認の考え方 |
日本薬剤師会も、体質や服薬状況に応じた薬を選ぶため、お薬手帳を活用して持病や服用中の薬を記載し、理解しておくことを勧めています。


セルフメディケーションで注意すべきことは?
セルフメディケーションは便利な考え方ですが、すべての症状を市販薬で対応できるわけではありません。市販薬を使う前に、添付文書の効能・効果、用法・用量、してはいけないこと、相談することを確認しましょう。
次のような場合は、医療機関や薬剤師への相談を検討してください。
| 症状・状況 | 相談を検討したい理由 |
|---|---|
| 高熱が続く、息苦しい、胸痛がある | 早めの医療対応が必要な場合があります |
| 強い腹痛、血便、黒色便がある | 消化器の病気などの確認が必要な場合があります |
| 激しい頭痛、麻痺、ろれつが回らない | 緊急性のある症状が隠れている場合があります |
| 皮膚症状が広がる、膿む、強く腫れる | 感染や炎症の確認が必要な場合があります |
| 薬を使った後に発疹や息苦しさが出た | 副作用やアレルギーの可能性があります |
| 妊娠中・授乳中、小児・高齢者の不調 | 使用できる薬や受診目安が個別に異なります |
「医療費を抑えたい」「病院へ行く時間がない」という理由だけで、強い症状を市販薬で様子見し続けることは避けましょう。

薬局で相談するときは何を伝える?
日本薬剤師会は、薬剤師に相談する際、どのような症状か、どの程度の強さか、いつからか、突然か徐々にか、時間とともに良くなっているか悪くなっているかなどを伝えるよう示しています。
薬局相談では、次の情報を整理しておくとよいでしょう。
- どのような症状があるか
- いつから症状があるか
- 症状は良くなっているか、悪化しているか
- 服用中の処方薬、市販薬、漢方、サプリがあるか
- 持病、妊娠・授乳、アレルギー歴があるか
- 過去に薬で副作用が出たことがあるか
- お薬手帳を持っているか
まとめ|セルフメディケーションは薬局と進める健康管理
国がセルフメディケーションを推進している背景には、健康の保持増進、疾病予防、軽度不調への適切な対応、医療機関の適切な利用があります。セルフメディケーション税制は、その一つの支援制度です。
ただし、セルフメディケーションは「自己判断で薬を使い続けること」ではありません。市販薬でよいか、薬剤師に相談すべきか、受診すべきかを判断することが大切です。
- 「セルフメディケーション税制について知りたい」
- 「市販薬を選ぶ前に薬剤師へ相談したい」
- 「病院へ行くべきか迷っている」
- 「お薬手帳や飲み合わせを確認したい」
このような場合は、エッセンス薬局の薬剤師へご相談ください。
FAQ
Q. 国はセルフメディケーションで病院に行かないことを勧めているのですか?
A. いいえ。セルフメディケーションは、病院に行かないことを目的とした考え方ではありません。軽度な不調への対応や市販薬の活用と、必要な受診を適切に使い分ける考え方です。
Q. セルフメディケーション税制は誰でも使えますか?
A. 一定の条件があります。健康の保持増進や疾病予防に関する一定の取組を行い、対象医薬品を一定額を超えて購入した場合など、制度上の要件を確認する必要があります。
Q. すべての市販薬がセルフメディケーション税制の対象ですか?
A. すべての市販薬が対象ではありません。厚生労働省の対象品目一覧やレシート表示、国税庁の案内を確認しましょう。
Q. 薬局では税制の対象商品か相談できますか?
A. 薬局で対象商品の表示やレシートの見方を相談できる場合があります。ただし、申告方法や控除の詳細は国税庁や税務署などの公式情報も確認してください。
Q. セルフメディケーションでは薬剤師に何を相談できますか?
A. 市販薬の選び方、飲み合わせ、使い方、受診目安、お薬手帳の活用などを相談できます。病名の診断や治療方針の決定は医師の診察が必要です。
セルフメディケーションについて知りたい方


薬局で相談できることを知りたい方


受診目安を知りたい方


薬剤師に相談したい方
注意事項
本記事は、セルフメディケーション、セルフメディケーション税制、薬局の役割、市販薬、受診目安に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の診断、治療方針、薬の使用可否、税務判断を行うものではありません。
医薬品を使用する際は、医師・薬剤師の説明や添付文書を確認してください。具体的な医薬品名を扱う場合は、PMDAの医療用医薬品添付文書等情報検索、または一般用医薬品・要指導医薬品検索で効能・効果、用法・用量、使用上の注意などを確認してください。
セルフメディケーション税制の対象医薬品、控除の条件、申告方法は変更される場合があります。最新情報は厚生労働省、国税庁などの公式情報をご確認ください。
症状が続く、悪化する、強い痛みや息苦しさがある、妊娠中・授乳中である、小児・高齢者である、持病や服用中の薬がある場合は、自己判断にこだわらず医療機関や薬剤師にご相談ください。
厚生労働省は、医薬品等の広告について、効能・効果等に関する虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布してはならないと示しています。そのため、本記事では「治る」「必ず効く」「必ず医療費が下がる」などの断定的な表現を避け、必要に応じて医師・薬剤師への相談を促す構成にしています。
参考情報
・厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
・国税庁「セルフメディケーション税制とは」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/self-medication.htm
・日本薬剤師会「セルフメディケーションについて」:https://www.nichiyaku.or.jp/yakuzaishi/activities/self-medication
・厚生労働省「2026年5月1日施行の医薬品販売制度の改正内容をご紹介します」:https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/20.html
・PMDA「一般用医薬品・要指導医薬品 添付文書等情報検索」:https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/otcSearch/
・厚生労働省「医薬品等の広告規制について」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
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