乾燥肌や肌荒れで皮膚科から処方されることの多い「ヒルドイド(ヘパリン類似物質)」。一方で、
- 薬局で市販薬として買えるのか?
- 類似成分の市販薬で代用できるのか?
- 美容目的での使用に問題はないのか?
結論から言えば、ヒルドイドは医療用医薬品であり、薬局やドラッグストアで市販されてはいません。ただし、ヘパリン類似物質を配合した市販薬は購入可能で、軽度の乾燥対策には役立ちます。本記事では、ヒルドイドと市販薬の違い、そして安全な使用のための注意点を詳しく解説します。

監修:ESSENCE薬局(エッセンス薬局) 管理薬剤師
武蔵小杉のESSENCE薬局に所属する薬剤師。処方箋調剤を中心に、服薬指導、お薬の飲み方・副作用・飲み合わせの相談、市販薬の選び方の相談、医療用医薬品の適正使用支援に従事しています。症状が強い場合や長引く場合は、医療機関の受診をご案内しています。
本記事はESSENCE薬局編集部が作成し、当薬局の管理薬剤師が内容を確認したうえで公開しています。
本記事は医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や不安がある場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
本記事は2026年8月時点の情報に基づいています。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は薬局で買える?医療用医薬品である理由

ヒルドイド(ヘパリン類似物質)とは?
ヒルドイドは、マルホ株式会社が製造販売している医療用医薬品です。主成分は「ヘパリン類似物質」で、血行促進作用や抗炎症作用、保湿作用を持っています。乾燥肌、アトピー性皮膚炎、瘢痕(ケロイド)、しもやけ、打撲、捻挫など幅広い皮膚疾患に使用され、皮膚科や整形外科で処方される外用薬です。
効能・効果は以下の通りで、
- 血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)
- 凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
- 進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症
- 外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎
- 筋性斜頸(乳児期)
に用いられます。
剤形には軟膏、クリーム、ローション、フォーム(泡タイプ)などがあり、症状や使用部位によって処方が選択されます。これらはいずれも医師の診察を経て処方箋が必要な「処方薬」であり、一般の薬局で自由に購入することはできません。
医療用医薬品として処方される背景
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)が薬局で市販されないのは、効果が高い一方で副作用や誤用リスクを伴うためです。ヘパリン類似物質は血液凝固抑制作用を持つため、皮膚から吸収されることで出血傾向を悪化させる可能性があります。特に出血性疾患を抱える人や抗凝固薬を服用している人では注意が必要です。
また、適応症はあくまで「乾燥性皮膚疾患」「血行障害に伴う皮膚症状」などの治療目的であり、美容クリームやスキンケア化粧品としての使用は認められていません。そのため、医師の診察を経て適正に処方される必要があります。
美容目的での誤用問題と処方制限の経緯
2017年頃、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)が「保険適用で安く高保湿スキンケアができる」とSNSで話題となり、美容目的で処方を希望する患者が増加しました。この影響で医療費の増大が社会問題となり、厚生労働省が医師に対して美容目的の処方を控えるよう通知を出しています。
この経緯により、「ヒルドイドは薬局で買えないのか?」という疑問が広まった一方で、市販のヘパリン類似物質製品が注目されるようになりました。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は市販で買える?ヘパリン類似物質配合の市販薬との違い
薬局・ドラッグストアで同じ有効成分を含む市販薬が入手できる
薬局やドラッグストアでは、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)と同じ有効成分を含むヘパリン類似物質配合の市販薬が販売されています。代表的な商品には以下のようなものがあります。
- ヒルマイルド(健栄製薬):ローション・クリームタイプ
- ビーソフテン類似品(テイコクファルマケアなど):スプレー・クリームタイプ
- アットノン(小林製薬):傷あと・打撲後のケア用
これらは「第2類医薬品」や「指定医薬部外品」として販売されており、薬局で薬剤師や登録販売者から説明を受ければ購入できます。
医療用ヒルドイドとの濃度・成分・効能効果の違い
市販薬に含まれるヘパリン類似物質の濃度は、医療用ヒルドイド(0.3%)と同じ場合もありますが、製剤設計や効能効果の範囲に違いがあります。たとえば、医療用は「皮膚炎」「アトピー性皮膚炎」などの疾患治療を目的としていますが、市販薬では「乾燥肌」「ひび・あかぎれ」「打撲後の腫れやしこりの改善」といった比較的軽度の症状に限定されています。
そのため、市販薬は軽度の肌トラブルや日常的な保湿ケアには有効ですが、慢性的な皮膚炎や広範囲の症状では医療用のヒルドイドほどの治療効果は期待できません。
市販薬のメリットと限界
市販薬のメリットは、処方箋が不要で手軽に購入できる点です。ちょっとした乾燥や軽い打撲、子どもの肌荒れなどには有効に活用できます。
ただし、自己判断で長期間使い続けると症状が悪化したり、原因疾患を見逃すリスクもあります。湿疹が続く、強いかゆみや赤みが出るといった症状がある場合は、早めに皮膚科を受診することが推奨されます。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)を安全に入手する方法
皮膚科での診察・処方を受けるのが基本
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)を入手する正規の方法は、皮膚科や内科などの医療機関を受診し、医師の診察を受けて処方してもらうことです。診察により、乾燥肌や湿疹、血行障害などの症状が確認された場合に処方されます。
処方薬の大きなメリットは、症状に応じて適切な剤形(軟膏・クリーム・ローションなど)を選んでもらえることです。例えば、乾燥が強く皮膚が硬い部位には油性の軟膏、広範囲に塗布する場合はローション、といったように症状に応じた剤形が処方されます。
また、診察によって皮膚症状の原因がアトピー性皮膚炎や感染症である場合には、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)単独では不十分であり、ステロイド外用薬や抗菌薬を併用することもあります。自己判断で市販薬を使うよりも、医師の判断に基づく治療のほうが確実で安全です。
オンライン診療・オンライン服薬指導の活用
近年では、オンライン診療やオンライン服薬指導を通じて、自宅にいながら診察・処方を受けられる仕組みも整っています。スマートフォンやパソコンを使い、医師に症状を伝えて処方箋を発行してもらい、薬局から自宅に薬を配送してもらうことが可能です。
特に子育てや介護で外出が難しい人、仕事が忙しく通院が難しい人にとって便利な方法といえます。ただし、初診では対面診察を求められる場合もあるため、利用する際には医療機関のルールを確認しておくことが大切です。
個人輸入や非正規ルート利用のリスク
インターネット通販や個人輸入代行を通じて「ヒルドイド」と称する製品が販売されていることがありますが、これは非常に危険です。
- 偽物や品質不明の製品が混在している
- 有効成分の濃度が規格外で、副作用のリスクが高い
- 医師の診断がないため、本来必要な治療を受けられない
といったリスクがあります。厚生労働省も「個人輸入は健康被害や詐欺被害の可能性がある」と注意喚起しており、安易に利用すべきではありません。
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)や類似品を使うときの注意点

副作用(赤み、かゆみ、出血傾向など)
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)やヘパリン類似物質製品は比較的安全性が高い薬ですが、副作用がまったくないわけではありません。代表的なものは以下の通りです。
- 塗布部位の赤み、かゆみ、発疹
- 出血傾向(打撲痕が治りにくい、鼻血が出やすいなど)
- 接触性皮膚炎(かぶれ)
これらの症状が強く出た場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談する必要があります。
長期使用でのリスクや誤用の危険性
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は長期間使用できる薬ですが、美容目的での不必要な長期使用はリスクがあります。血行促進作用により赤ら顔や皮膚刺激感を引き起こすことがあり、また医療費の無駄にもつながります。
市販薬も「乾燥肌対策に良さそうだから」と安易に全身に長期間塗布するのではなく、症状が続く場合は必ず皮膚科を受診するのが安全です。
子ども・妊娠中・高齢者の使用時に注意すべきこと
- 子ども:乳児期にも処方されることがありますが、皮膚が薄いため吸収が強く出やすく、必ず医師の指示に従う必要があります。
- 妊娠中・授乳中:基本的に使用可能とされていますが、出血傾向のある場合は注意が必要です。
- 高齢者:皮膚が弱く副作用が出やすいことがあるため、自己判断で市販薬を長期間使うのは避けるべきです。
まとめ|薬局で買えるのは「市販のヘパリン類似物質製品」
ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は医療用医薬品であり、薬局やドラッグストアで直接購入することはできません。正規に入手するには、皮膚科などの医療機関を受診し、症状に応じた処方を受けることが必要です。一方で、薬局では「ヘパリン類似物質」を含む市販薬が販売されており、軽度の乾燥肌や保湿ケアには有効に活用できます。ただし、市販薬はあくまでスキンケアの補助的な位置づけであり、症状が改善しない場合や強いかゆみ・炎症がある場合には、必ず医師に相談すべきです。
また、インターネットを通じた個人輸入や非正規ルートでの入手は、偽物や成分不明のリスクが高く、健康被害を招く可能性があるため避けましょう。安全に肌を守るためには、「正しい診断」と「適切な薬の使い分け」が欠かせません。
乾燥や肌荒れで悩んでいる方は、まず市販のヘパリン類似物質配合薬を試しつつ、改善しないときは皮膚科受診を検討するのが最善です。当院ではオンライン診療や薬局との連携も行っておりますので、不安のある方は、ぜひ一度ご相談ください。

- 【重要】
医療用医薬品の購入は原則として薬剤師からの確認・説明が必要で、通販サイトのみで完結する販売はできません。 - 【ご案内】
零売での購入は保険適用外(自費)です。価格・取り扱い可否・剤形・用量は薬局により異なります。 - 【お願い】
症状が長引く/悪化する、既往症がある、他の薬を服用中などの場合は、自己判断に固執せず医療機関の受診を優先してください。 - 【表記方針】
本文では可能な限り一般名で表記しています。実際の取り扱い銘柄は薬局により異なります。
【2025年5月の薬機法改正について】
2025年5月に薬機法(医薬品医療機器等法)が改正・公布され、処方箋なしでの医療用医薬品の販売(零売)は原則として禁止されることになりました。この規定の施行は公布から2年以内(2027年5月まで)とされており、2026年8月時点では施行日は確定していません。
施行後は、医師から処方された薬が手元になく診療も受けられない、一般用医薬品では代用できないといった、やむを得ない事情がある場合に限り、薬剤師の判断のもとで販売が認められる見込みです。
本記事の内容は改正前の運用を前提としている場合があります。最新の取り扱いについてはESSENCE薬局へお問い合わせください。

